インタビュー

人生は短いからおもいきり生きたい。だから私はいつもパワー全開!

いつでも音楽を聞ける環境に育ち、無意識のうちに吸収していた。

―これまでの音楽遍歴をお聞かせ下さい。

「プロデューサーでありアーティストでもある父の影響もあって、パリの家には小さい時からいろいろなアーティストが出入りしていました。常に音楽がある環境だったので、無意識のうちに吸収していたんですよね。

それが、今自分が音楽をやっているうちにぶくぶくと泡のように出てきているところがあると思います。音楽を始めたきっかけは色々な出会いが大きいんですけど、一番大きな影響をあげるとするなら、14~15歳ぐらいの感受性が豊かな時に聴いたブラジルやアフリカのアーティストの音でしょうか。父が彼らをプロデュースしていたんですが、初めて自分でいいなと思えた音楽だったんです。

それから、留学先のバンクーバーでジャズのビッグバンドに入って、人と一緒に音を奏でることの楽しさを知ったり、日本に帰国してから『かぼちゃ商会』というグループに出会って一緒に活動を始めたりと、これまでにいろいろな活動をしてきました。歌を中心にライブ活動を始めたのが22歳の時。わりと最近なんですね。それまではフルーティストとしてミュージシャンになろうと思って、楽器中心にほかの方のサポートで演奏をしてました。父が歌っていたので、私は無意識的に楽器や音を作る方に行ったのかもしれません。結局、今はまわりまわって歌ってますね。」

インタビュー風景

いつか「マイア・バル―」というジャンルができれば。

―音楽を通して伝えたいことは?

「人生は短いからおもいきり生きたいし、おもいきり生きてよという思いがあるので、いつも私はパワー全開なんですけど、歌によってメッセージは違うので、一概にはいえないんです。
でも、私の音楽に共通しているのは人間くささでしょうか。アートもそうだけど、音楽はお客さんの想像力を引き出すのが大事だから、何も押しつけたくないんですよね。自分はこうでという思いがあっても、それは言わなくてもよくて、感じてくれる人は感じてくれればいいし、違うように感じてくれてもいい。そこはすごく大事にしています。私の曲を"聞いたことがない曲"、"ワールドワイド、ノージャンル"という人が多いんですけど、自分ではそういうつもりはなくて、好きな音を集めてみたら、結果的にこうなっちゃったんですね。
いずれは『これはマイア・バルーっぽいよね』っていうように、マイア・バルーというジャンルができれば嬉しいです。」

器用なタイプじゃないから、自分にしかないスタイルを作ろうと。

―パルコのCMでは、歌いながらフルートを演奏するスタイルが印象的でした。

「あれは自分の中で確率しているスタイルというか、ライブではあの曲じゃなくても、歌いながら演奏したり、わりと私節でやってます。一応、クラシックがベースなので譜面があって演奏しろと言われたらちゃんとできると思いますよ(笑)。
うまくなろうとか完璧なテクニックのフルーティストになろうと思ったこともありましたけど、私はそんなに器用なタイプじゃないからできないなと思ったんです。だったら自分にしかできないスタイルを作るしかないなと思ったんです。
でも、実際に歌って演奏するのは、ジャズの人でもいるので、私が作ったスタイルではないんです。ただ、即興部分というか、ソロ中で歌いながらっていう人はいますけど、歌とフルートのふたつを使いながら、ひとつのメロディを作っている人はいないかもしれませんね。」

CMの曲はどれも大好きな曲。映像の中の私は完全に素の状態です。

―CM撮影の裏話を教えてください。

「お話をいただいた時は本当にびっくりしました。収録された曲はライブでも必ずやっていて全部好きな曲だったので、『本当に私が好きな曲をやっていいんだ』と嬉しかったです。撮影も自由にやってくださいというかんじで、もちろん環境はライブと違うの緊張しましたが、完全に素の状態です(笑)。
最初。『Love human.』というコピーを聞いた時は、テーマが大きくて聞きなれない印象もあったんですが、よく考えると、こういう強い言葉をはっきり出すのって、今風でかっこいいなって。私がCMでエネルギッシュに叫んだり、歌ったりした後に、こういう強い言葉が出てくるのは、私がどうこうという意味ではなくて、ひとつの宣伝や作品として衝撃的だと思いましたね。私の周りでも、昔のアバンギャルドなパルコの宣伝を思い出したという人がいました。そんな作品に私を使ってもらえて本当にラッキーだったなと思います。」

私の野性的な直観は、犬譲りかもしれません(笑)。

―6歳まで犬に育てられたというユニークな経歴をお持ちだそうですね。

「(笑)!父がたくさん犬を飼っていたんですけど、私が生まれたときにすごく賢い犬がいたんです。耳がウサギみたいに大きくて、体は小さくて足が短くて、見た目が不思議な犬でした。レイカという名前だったんですけど、私のことを自分の子どものようにかわいがっていて、私も6歳までレイカがお母さんだと思っていたんです。寝たり、ご飯を食べたり、いつも一緒でした。だから、私には犬っぽいところというか、野生的な直観があるんです。人間に関しては、合うか合わないかの鼻がきくんですよ」

今の自分を一番いい形で表現して、お客さんに感じてもらえたら。

―11月27日(土)、パルコ劇場でのライブへの意気込みを。

「今の自分を一番いい形で表現して、感じてもらえたらいいなと思っています。今回はパルコのCMのこともあるので、今までとは違うお客さんだったり、私を見たことがない人たちに見ていただける機会でもあると思うんです。そういう意味で、お客さんがどういう反応をしてくれるのか、私も当日の雰囲気が読めない部分があります。怖い部分があってドキドキだったり、すごく楽しみな部分もあります。
ぜひ、都会的でプリミティブ、聞いたことがない音楽を聞きに来てほしいですね。」