INTERVIEW

インタビュー

chelmicoさん

Vol.06

chelmicoさん

RachelとMamikoによるラップユニットchelmicoは、キャッチーなメロディと等身大のリリック、2人の自由気ままなキャラクターが幅広い世代に共感を呼び、CMソングやイベント出演のオファーが絶えない。結成は遡ること5年前。建て替え工事前の渋谷PARCOで2011年から開催されていた「シブカル祭。2014」の屋外ステージで、1曲だけラップを歌ったことが始まりでした。1度きりのはずだったステージが反響を呼び、chelmicoの活動が続いていくこととなった2人は、どのようにして現在に至ったのでしょうか。

渋谷PARCOから始まった物語

――お2人がはじめてラップを披露した2014年の「シブカル祭。」で、人通りの多い公園通りに設置されたトラックステージに立ったときのことを教えてください。

Rachel「不思議なことに、全く緊張しなかったですね。そもそも、私たちのことを誰も知らないし、自分にも何の期待もしてなかったからだと思います。ホームもアウェイもないし、無料ステージだったから通りがかりのお客さんも多くて、とにかくラップを楽しむぞ!という、文化祭のノリでした」
Mamiko「私は当時、受験勉強真っ最中だったんです。もともと友だちだったレイチェルに誘ってもらって二つ返事で参加を決めたものの、軽音楽部出身のレイチェルとは違って私は専らリスナーだったので、ステージに立ったことなんてもちろんなくて。学校帰りにカラオケで集まって、曲を作ってくれたゴメス君と一緒に練習しました」
Rachel「当日は『どうもはじめまして、ラップやりまーす! ミュージックスタート!』くらいのテンションでした。お客さんたちのノリが良くて、調子に乗っちゃいましたね。持ち歌もたった1曲だったし。とにかく楽しくて、今思えば『シブカル祭。』の日は良い思い出しかありません」

――初ライブを機にスタートしたchelmicoの活動は、その後どのように進化していったのでしょうか?

Mamiko「PARCOでのライブ後、おかげさまでライブのお誘いをいくつかいただいて、ゆるゆる活動がスタートしていきました。当たり前なんですけど、それ以降はプロの方達と対バンする機会が増えていくから、お客さんもシビアで、ライブのたびに凹むんです。持ち歌も少ないし、ステージの上でも全然動けないし。もう人前に立つことが嫌で嫌でしょうがなかったです」
Rachel「あの時期は辛かったね。私たち、2年くらいずっとベストライブがPARCOだったんですよ(笑)。うまくいかないライブが多くて、終わった後、ライブハウスの駐車場に2人でしゃがみこんで、『うちら頑張ったよね……』って慰め合ったこともあります。だけど、なぜか辞めるって選択肢はなかったんです」
Mamiko「トラックを作ってくれる人とか、私たちの活動を応援してくれている人もたくさんいたし、今さら引くに引けなくなっていたような気がします。レイチェルは悔しさと同時に創作意欲にあふれていたよね」
Rachel「曲もパフォーマンスも自分たちで納得いっていないまま終われなくて、私の家に2人で集まってリリックを書くようになりました。夜っぽいトラックには、アーバン、街の灯、ハイヒールとか、連想ゲームにみたいに単語をノートに書き出していって、それを組み合わせながら曲にしていきました。だんだん関係ない方向に連想が進んでしまって、マミちゃんとゲラゲラ笑いながら作っていましたけど」
Mamiko「当時はとにかく韻を踏めばいいと思っていたので、2人で思いついた言葉をパズルみたいに並び替えて、ラップにしてましたね。最初の頃に作った曲は、完全にその場のノリで作った曲が多いから、ライブで歌うのが恥ずかしかった記憶があります」
Rachel「そのまま曲に集中すればいいものを、途中からオリジナルグッズを作る方が楽しくなってしまって、これじゃいけないと思ったんです(笑)。本格的に曲作りのスイッチが入ったのは、2016年に初めてアルバムを出すと決めた頃から」
Mamiko「Tシャツのデザインを考えたり、刺繍入れてもらったり、おしゃれなグッズを作ることに全力を注いでいたんですけど、こんなにグッズをたくさん作ったのに、CDがないのはラッパーとして本末転倒なんじゃないか……と気づいたんだよね」
Rachel「CDを発売するには煩雑な手続きが必要なんですけど、いろんな人の力を借りつつ、無事にリリースすることができました。お金がなかったから、ジャケットをプリンターで白黒で刷って、ケースに一枚一枚、手で入れてました」

chelmicoが書き続ける日記

――2人が憧れていたアーティストや、影響を受けてきたものを教えてください。

Rachel「chelmicoを結成する前、マミちゃんとは、2人とも小さい頃からRIPSLYMEが大好きっていう共通点があって仲良くなったんです。メンバー全員がキラキラしていていつも楽しそうで、『こんなに楽しそうにステージに立てるなら、ラップってめっちゃ楽しいんだろうな』くらいの漠然とした気持ちで憧れていました」
Mamiko「肩肘張ってなくて、おしゃれで、かっこいいおじさんが集まったサークルみたいで、私たちにとってのアイドルでしたね。chelmicoのディレクターが、RIPSLYMEも担当していた方で、ある時のライブ終わりで『挨拶に行こう』と言ってくれて、お会いできる機会があったんです。会う前は緊張するかなと思っていたけど、しょっちゅう頭の中にいる5人だったから、いざご本人を目の前にしても、イメージ通りで驚きませんでした」
Rachel「まるで小さい頃から知ってる人に会うような感じだったね。音楽面ではほかにも色々なアーティストさんの曲を聴いて刺激をもらっているけど、ずっと憧れ続けているのはRIPSLYMEさんだけ。曲もスタイルもたくさん影響を受けています」

――普段、お2人が曲やリリックを書くときはどんなものにインスピレーションを受けているのでしょうか?

Mamiko「映画、本、音楽が多いですけど、制作時期になるといつも以上に人と会って、そのときに聞いた話をノートにメモしています。私もレイチェルも、昔から日記をつける習慣があるんです。高校生の頃から、その日あったことを気まぐれに書いていて、長文のときもあれば『眠かった』だけのときもある。曲を制作するタイミングでその日記を読み返して、『そういえばこのときこんな気持ちだったな』と思い出してリリックにしたりします。すぐに新しいノートに書き込んじゃうから、中途半端に書いてあるノートが何冊もあるんですけど、捨てずにすべてとってあります」
Rachel「私はスマートフォンで日記を書くことが多くて、データで保存しています。毎日ではなく思い立った日に書くから、1年くらい間が空いちゃうこともありますね。実は最近まで2人で交換日記もしていたんです。懐かしいアニメのキャラクターが描かれたノートを見つけて盛り上がって始めたんですけど、あるときからマミちゃんの持ち歩くバッグが小さくなっちゃって……。『ごめん、荷物になるからまた今度』って言われてノートを渡せない日が続いて、半年くらい渡せないまま私の日記で止まっているんです。渡せないから、3回連続私が書いている状態です」
Mamiko「それはもう、レイチェルの日記になってる(笑)」
Rachel「思い出したから、今度会うときは紙袋に入れて持っていくね!」

CMソングで広がった景色

――2018年にアルバム『POWER』でchelmicoはメジャーデビューを果たされましたが、変化を感じることはありますか?


Mamiko「メジャー以降、ライブがどんどん好きになっている気がします。秋にライブをしたマイナビBLITZ赤坂では、大きなステージの使い方を考える余裕もありました。ツアーで全国を回るのもめちゃくちゃ楽しくて。お客さんは、みんな私たちのことを好きで来てくれてるっていうのが伝わるのも嬉しいです」
Rachel「そりゃ、ワンマンライブはみんな私たちを観に来てくれているからね(笑)。あの頃、駐車場で慰め合ってた私たちに言ってあげたい。『4年くらいかかるけど、それから楽しくなるから大丈夫だよ!』って」
Mamiko「自分は本当にライブが苦手だったから、大きな変化かもしれないです。昔からライブを観てくれているファンの方にも、chelmicoが成長した姿を見せることができたかなあと思います」
Rachel「それと、ツアー中にお酒を飲まなくなったのも大きな成長です」
Mamiko「メジャーにいく前は、飲んで気合い入れてからステージに向かっていたので(笑)」
Rachel「あとは『爽健美茶』のCMソングを歌わせていただいてからファン層がぐんと広がったと思います」
Mamiko「最初にお話をいただいたときは、嘘かと思いましたね。『本当に私たちでいいの?』って気持ちでした。出演もそうですが、誰もが知っているあの曲をラップ調にアレンジするっていうのはチャレンジだったので、気を引き締めてラップさせていただきました」
Rachel「あれから道端で声をかけられることも増えて、テレビの影響ってやっぱりすごいと感じます」
Mamiko「それまでライブに来てくれるお客さんはだいたいラップ好きの人だったんですけど、女子高生のお客さんが一気に増えたのは驚いたし、嬉しかったですね」

――最後に、忙しいchelmicoの活動を続けながら、公私ともに仲良しであるお2人が、密かに貫いてきたルールがあれば教えてください。

Rachel「変な距離を取りたくないし、『あれ、本当は何考えてるんだろう?』とか思いたくないんですよ。だから定期的に集まって、仕事でもプライベートでも、些細なことでも、自分にあった出来事をマミちゃんに伝えるようにしてますね」
Mamiko「確かに、疲れたくないから、お互い見栄も張らないし嘘もつかない」
Rachel「たとえ四面楚歌になっても、私だけは味方でいるよって思い合ってるんです。例えばSNSで悪口を見つけてしまったときに、マミちゃんがいれば『こんなこと言われてるよ~』って冷静に話せる。お互い同じ境遇だから話せる内容もたくさんあるし、正直でいられますね」
Mamiko「世間に出ちゃったものは、どうしたって何か言われるんで、だったらありのままの方が楽だなと。だけどそれは2人だから。もし1人だったら、周りの声を気にして卑屈になっていたと思います」
Rachel「曲を作るときも、ライブのときも、自分たちが今好きだって思うものを、素直に取り入れていると思います。ちなみに私が今一番やってみたいことは、バンドセットのライブ」
Mamiko「私はタイでライブがしたいです。ビールも飲みたい。とにかく、自分に正直であることに尽きるね」

全国ツアー「chelmico Fishing Tour」 マイナビBLITZ赤坂 公演のようす

全国ツアー「chelmico Fishing Tour」 マイナビBLITZ赤坂 公演のようす

全国ツアー「chelmico Fishing Tour」 マイナビBLITZ赤坂 公演のようす

chelmico

チェルミコ。Rachel(レイチェル)とMamiko(マミコ)からなるラップユニット。2014年「シブカル祭。」の出演を機に結成。16年に1stアルバム『chelmico』を発表し、HIP HOPという枠に捉われないポップな楽曲と2人の自由奔放なキャラクターに注目が集まる。
18年、ワーナーミュージック・ジャパン内レーベル「unBORDE」よりアルバム『POWER』でメジャーデビュー。同年2月に放送がスタートした「爽健美茶」のテレビCMに出演し、CMソング『爽健美茶のラップ』を配信シングルとして発表。8月にはニューアルバム『Fishing』をリリース。全国6都市7公演ツアーは全て完売。最終日のマイナビBLITZ赤坂にて来春の全国ツアーを発表。愛らしい2人の容姿から想像を絶するラップスキルと、キャッチ―なメロディーが幅広い世代から共感を呼び、精力的に活動中。

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