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『ズラ展』×デハラユキノリ
Q.作品を観る前にフィギュア製作をスタートさせたそうですが、ご自身のイメージと完成した作品にはなにかギャップがありましたか?
  『イカレスラー』、『コアラ課長』と河崎監督の作品は観ていたので、とにかくバカバカしいテイストだということは分かっていました(笑)。カツラを投げるシーンだけはどうやるのだろうと想像しながら作りましたが、ほぼ合っていましたね。モトさんがカツラをかぶるということだけで話題性のある映画なので、モトさんあっての作品です。個人的には主題歌「悲しみはヅラでとばせ」のPVが入っている中盤がおすすめです。
Q.『ヅラ刑事』のポスターでは味のあるフィギュアが目をひきますが、実物は想像より小さかったので驚きました。
  僕は自分で撮影もするのですが、『ヅラ刑事』のポスターではロケ地を湘南にしてみました。特に意味はないですが(笑)。作品集の撮影でも、基本は屋外での撮影です。なぜなら、人間が写っていなければ、フィギュアと周りの風景の縮尺がわからなくなって、見る人の大きさの感覚をなくすことができるからです。ですから『ヅラ刑事』のフィギュアがもっと大きいものだと思っていたという錯覚は僕の狙い通り。「ヅラ展」では『ヅラ刑事』のフィギュアも展示するので、そのあたりのギャップを楽しんでほしいですね。
Q.個展のほかに多くの広告も手がけてらっしゃいますが、映画の広告ならではのこだわりがあるのでしょうか?
 映画の広告は作品の内容をそのまま表現しなくても許されるところが好きなんです。たとえば、『ヅラ刑事』のフィギュアはどれも本人に似てないですし。・・・あっ! なべやかんさん演じるチビ刑事のフィギュアは、頭の上から見下ろすと、眉毛のあたりが似てるかも・・・って今気付きました(笑)。話がそれましたが、人が集まればなんでもありというか、いい意味でお客さんの期待を裏切るのが映画の広告なのではと思っています。『ヅラ刑事』のフライヤーを手に取ってくれた人の中には「これはクレイアニメなの?」と勘違いする人もいますし、自分が映画館に行くときのことを考えても「広告にやられたっ!」っていう騙された感を楽しんでいるところもありますから。
Q.「ヅラ展」では、『ヅラ刑事』のフィギュアのほかに、ヅラとおやじたちをコンセプトにした新作フィギュアが登場するそうですが?
  「ヅラ展」では、より頭髪に焦点をあてた新作フィギュアを構想中です。ヅラのオンとオフ両方のシチュエーションを並べたり、間違えてヅラを胸毛にしてしまっているとか、まったくわけのわからないものが登場するかもしれません。前もってテーマやモデルをかっちり決めてしまうと仕事っぽくなり楽しくないので、作っているうちにどんどん変わっていくんです。どんなものができあがるのか、正直言って僕にも想像がつかない(笑)。ただ、髪の毛がないというだけで、愛おしく可愛らしくなればなと思っています。
Q.作品集『サトシ君のリストライフ』、『ジバコレ』でも、おじさんをモチーフにしたフィギュアが多く登場しますが、なにか特別な思い入れがあるのでは?
  特別な思い入れ? うーん・・・僕はおじさんが好きなんでしょうか・・・ってアブないじゃないですか(笑)。たしかに学生のころからモチーフにおじさんが多いんです。それはおそらく、おじさんは面白いと思っていて観察していたからでしょうね。実際のおじさんは怖いですけど。一言でおじさんといっても、ものすごく幅が広くていろいろなタイプがあります。なにせ、世の中の4割くらいはおじさんですから。奥深いんです、おじさんは。
Q.可愛らしいけど毒もあるところがデハラワールドの魅力ですが、独特なフィギュアを生み出すヒントは?
  昔から映画が好きだったので、なにかしら影響はあると思います。最近、気付いたのですが、血まみれだったり、首が切れているフィギュアが多いのは、小学生の頃の第二次スプラッター映画ブームの影響なんですね。そのときに、世の中にはホラー映画しかないと思い込んでしまったらしく、実家からは当時上映していた『悪魔の毒々モンスター』という映画のチラシが100枚くらい出てきたほどです。自分でも、そんな小学生気持ち悪いよなと思います(笑)。あとは、直接フィギュアに反映されているかはわかりませんが、ふだんの人間観察。渋谷をウロウロすることが多いのですが、いくら人が多くても外国にいるような気持ちで一歩引いた視線で眺めると面白いところですよね。電車の中でも不思議な人がいるときは、できるだけ近付く派です。
Q.では、デハラさんにとってフィギュアとは?
  遊びです。粘土遊びをしていた子供の頃と感覚は変わっていないと思います。もともと手を使ってゴニョゴニョする作業が基本なんですが、それがいろいろなものに派生して仕事になっているのが不思議な感覚です。仕事ではフィギュアの割合が多くなっていますが、自分としてはイラストの方も隔てなくやっていきたいと思っています。また、これまでの作品にもそれぞれ設定があったのですが、フィギュアが完成してから後づけしたものだったので、次回の作品集はストーリーを固めてからフィギュアを作ってみようかと思い、小説を書いているところです。
Q.今回パルコで個展を開催することになりましたが、パルコでの思い出がありましたらお聞かせください。
  僕の田舎にはパルコがなかったので、大学の夏休みのときに彼女に連れられて渋谷パルコに来たのがはじめてでした。その当時はパルコというところはおしゃれすぎる、近寄ってはいけない所というイメージを持っていたので、怖くて入りたくありませんでした(笑)。東京に住みだしてからは、パルコミュージアムによく足を運ぶようになりました。ギャラリーよりも大きくて美術館よりは小さいというほどよい規模と、展覧会のセレクトがぴったりきましたね。今の僕の中でパルコはアートと繋がっているイメージです。
Q.最後にファンのみなさんへ一言。
僕は印刷物になっている状態の作品も好きなのですが、やはり生で作品を見てもらって、実物がほしいなと思ってくれれば嬉しいですね。そして、家の壁などにも気軽に飾ってほしいです。「ヅラ展」では、『ヅラ刑事』以外の新作フィギュアを販売するので、ぜひ足を運んでください。
photographs:Bun Aiyama interview:Kazumi Tokura
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