市場動向と経営課題

2017年の小売業界は、株高による富裕層の高額消費や訪日外国人客による消費回復が見られ都市部の百貨店など一部好調な施設はあったものの、地方・郊外では店舗の閉店が相次ぐなど厳しい消費環境は依然として続いています。各業界とも衣料品の苦戦が続くなか、百貨店が3年ぶり、ショッピングセンターが2年ぶりに前年実績を上回りました。百貨店は、化粧品がインバウンド需要を取り込み、インバウンド売上が過去最高を更新しました。ショッピングセンターは、婦人服が苦戦するも、飲食・雑貨・サービスが好調に推移しました。しかしながら、いずれの業界も地方では、前年を下回っており、都市部と地方間での二極化が顕著となった年になりました。一方でEC市場は、スマートフォンを介した個人間取引が浸透し活発な動きが見られ、引き続き拡大しています。
消費動向の変化については、モノやサービスを他の人と共有する「シェアリングエコノミー」の認知度が高まり、若い世代を中心に拡大しています。衣服・バック・時計などファッションレンタルに代表される「モノのシェア」、オフィス・会議室などの「スペースのシェア」、車・自転車などの「交通手段のシェア」などシェアリングサービスが多岐にわたるようになっています。また、インスタグラムなどSNS活用の広がりにより「フォトジェニック(写真映え)」消費が一般化するとともに、働く女性の増加により自分磨きや自己投資など、自己表現の場としても活用され、旅行、健康、趣味など体験・体感型消費へと拡大しています。一方でモノに対する価値観も変化しており、従来のブランド価値からソーシャル消費へ関心が高まり、オーガニック、エコ、ハンドメイドなど価値観が多様化してきています。また、スマートフォンの普及により、個人がリアルとネットを使い分けるなど境界線がなくなりつつあり、リアル店舗のEC比率増加に対して、EC業態がリアル店舗に参入する動きも活発化しています。
このようなリスクと機会が混在している中で、当社グループには持続的に成長していくための強みがあります。1つ目は、継続的に商業施設の魅力を維持するための、調査・立案から、テナント編集・演出、宣伝、販促、改装までトータルにプロデュースするグループの総合力。2つ目は、当社独自の考え方であるイコールパートナー主義です。これは「テナントはともに成長していくためのパートナーである」という認識のもと、お互いの価値観を共有し成長・発展していく考え方であり、出店契約についてもお互いがメリットを享受できる収益構造を構築しています。また、出店テナントで構成されるパルコ会を組織し、テナントとのリレーションをより強化し、地域への貢献と共同の繁栄を目指して一体となって取り組んでいます。こうした強みを活かして、中期経営計画(2017年度~2021年度)の戦術を着実に実行することで、当社独自の提供価値を拡大していくことが重要であると考えています。
※ECとはElectronic Commerce(エレクトロニックコマース= 電子商取引)の略です。

小売業態別売上高前年度比推移(既存店)

小売業態別売上高前年度比推移(既存店)

一般社団法人 日本ショッピングセンター、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会より引用

EC市場規模の推移

EC市場規模の推移

経済産業省 電子商取引に関する市場調査より引用

Updated Jul. 10, 2018

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